『収益力強化の実践法』    

 2年前の夏、ビジネス番組「カンブリア宮殿」で驚くようなすごい成果が放映されました。5億円を超える赤字を垂れ流す日立の子会社「日本サーボ」が日本電産に吸収合併(M&A)を受けて11ヶ月目で20億円を超える黒字を計上する素晴らしい優良企業に変身しました。何が起こったのか!日本電産の創業社長である永守重信社長が日本サーボに入って取組んだ詳しい経過が紹介されました。

〔大ぼらを吹き、宣言する〕
赤字で苦しんでいる会社には意気消沈した風土があります。まずそれを払拭させることが第一です。人間のやる気とは生きる中で大変重要なものであり、自分の人生の目標・自分の存在価値を感じることから生まれます。将来の素晴らしい夢を語り、士気を鼓舞します。まさに経営理念・経営ビジョンを真剣に語りかけます。真剣に社員に語りかけるうちに、社長自身がその気になってきます。社員に夢を語るほどに社長の頭の中の夢が明確になってきます。そしてパワーが益してくるのです。結果として、社長のパワーが会社のパワーと言えます。そして、1年後の目標を設定し自分が責任を持つから1年だけ言うことを聞いてくれるように依頼し、もしその結果がでなければ自分を罵倒してくれても良いと宣言します。本気の勝負です。

〔早起きと挨拶と掃除〕
まず、最初の依頼は30分前に出社することです。そして、経営幹部は社員の出社する少し前に、正門前に立ち大きな声で「おはようございます」と元気なあいさつをします。どこにでもある小学校の正門前の朝の風景です。その後、全員で掃除をします。放映された内容を見て驚きます。女性社員が廊下を四つんばいになって雑巾で床を磨き、別の女性社員は、いすのキャスターまで雑巾で磨き、また男性社員は、階段の手すりからステップの各段も雑巾で磨き、トイレも雑巾で隅々まで磨きます。お寺の修行の光景を思い出します。

〔小さな決め事を徹底してチェックする〕
工具の置き方、並べ方、収納の仕方まで細かく決めます。絵を描きその上に乗るように、また工具の先がまっすぐに並ぶように先端に印を入れてチェックします。事細かにルールを設定して、徹底してチェックをします。また、合わせて経費の精算も全て稟議を通し、150円の軍手一つも例外はありません。コストダウンになることは徹底し、電球も品質のトラブルが起こる限界まで取り除きました。

10ヶ月目で経常利益率が10%を越えます。赤字垂れ流しの会社の社員からは大ぼらとしか聞こえなかった「経常利益率10%超過は臨時賞与5ヶ月分」が現実となりました。取材のマイクを向けられた女性社員が一言「辞めなくて良かった」。リストラ解雇はゼロですが、どれだけ多くの人が早起き・挨拶・掃除・ルール遵守という当たり前の事に不満を感じ退職して行ったか想像がつきます。会社の収益とはまさにこの事実の中にあるのではないでしょうか。わがままや横着さが蔓延しているところに成果は見込めるはずはありません。組織の風土改革が成果を上げる大きな力であることが証明されたと言えます。永守社長も「会社の改革手法は確立した」と話されていました。戦略的な中期経営計画の大きな目的とは、まさにこの実例のような社員の意識改革にあるといえます。基本の徹底のすごい成果は業種や規模には関係なく全ての企業にその優良企業に変身できる可能性があることを証明しています


『経営理念が成長の原動力』    平成22年7月
     

成功する人の共通点は「夢見る能力」と言われます。将来の夢やビジョンを感じることが出来れば、人間の生まれながらに持っている潜在意識の中の目標自動追跡装置が自然に働き出し無意識に行動が始まります。その姿は、活き活きとして、目は輝き、活力がみなぎり幸せを実感しているように見えます。すばらしい人生を送っている人にはそのような共通点があり、すばらしい会社にはそのような風土があります。

〔幸せを感じるとは〕
心理ゲームの中で「欲しいものは何?」という質問を重ねるものがあります。「何が欲しいの?」「お金」。「コイン?金属の塊が欲しいの?それならマンホールのふたのほうが?」「マンホールのふたはいらない。札束が欲しい」。「紙の束が欲しいの?だったら、電話帳のほうが?」「電話帳は要らない。車が買いたい」。「なぜ、車が欲しいと言わないの?それで、車の中で生活したいの?」「いえ、ドライブがしたい」。「一日中運転がしたいの?それなら、長距離の運転手したら?」 「運転手はいや。彼女とドライブがしたい」。「彼女と一日中、ドライブしたいの?」・・・何が欲しいか、明確に答えることが出来る人は少ないのではないでしょうか。とにかくお金があれば便利。心理学では、このゲームには答えがあります。欲しいものは何か。それは、生きる中で必要なものです。「人生の目標・自分の存在価値」です。幸せとは、人生の目標に向って一所懸命努力する過程を言うようです。達成するのではなく、目標に向う過程を言います。その努力する過程に二つの大きな成果が生まれます。一つは充実感と言う精神的満足、そしてもう一つは経済力という物質的満足です。そのためにも、人生のビジョンや目標そして会社の将来のすばらしい姿を明確に持つことが大きな力となります。まさに、成功する人の能力は「夢見る能力」と言えます。

〔環境は同じ、感じる気持ちに大差」
山登りを趣味としない人に、荷物を背負って目標も決めずに坂道を登ることを求めたらこれほどの苦痛はないでしょう。しかし、登山を好む人は、頂上の爽快感を心に抱き嬉々として登ります。同じ事をしているのに大差があります。レンガを積んでいる人が二人いたとします。「何をしているのですか?」と質問しますとAさんは辛そうに「今日中に100個積まないと日当が出ないのです」と。Bさんは、嬉々としながら「将来、子供に誇れる建物を残したいのです」。Bさんは、幸せを感じているように見えます。日々の仕事も生活も全く同じではないでしょうか。環境は同じで、それをどのように心で感じるかに大きな差があるといえます。掃除をしていても全く同じです。辛いと感じるか美しくなる様子を感じお客様の喜ぶ姿を思いワクワクするか、同じ動作でも感じる心は天地の差です。主体的に挑戦する姿にやりがいと言う感情が生まれるといえます。

〔経営理念で人も会社も変身する〕
今注目の世界的コンサルタントP・F・ドラッカーは、「経営とは、顧客の創造である」お客様に喜んで頂くサービスを追求する過程が会社の成長を実現し、お客様の満足とは社員一人ひとりの成長(自己実現)の過程であるとも言っています。人は、お客様の役に立つ(存在価値を認められる)ことにやりがいを感じます。社会の役に立つことが会社の存在価値となります。レブロンは、化粧品販売会社と定義せず「女性の美しくなるお手伝い」と考え、ベルは電話機の製造業とは定義せず「離れた人のコミュニケーションのお手伝い」と考え社会に役立つことを使命としました。ワタミも「世界一『ありがとう』を集める会社に」が注目を集めています。会社の存在価値を明確に定義し、経営者がワクワクするぐらいに何度も何度も社員に伝え続け社員一人ひとりがその思いに自分の人生の存在価値を重ねることが出来れば社員もその会社もすばらしい成長の循環に変化していくといえます。

戦略的に中期的に計画的に会社の体質を強化することは非常に重要な課題ですが、その成長を大きく支える力となるのが、明確な会社のそして経営者の持つ「経営理念」であると実感します。もし、それがあいまいなままでいくらすばらしい会社の方針や目標や計画を立案しても、その目標はノルマや負担になってしまうのではないでしょうか。改めて、社長と数名の幹部の皆さんで会社の将来のビジョン・夢・社会の役に立つ存在価値を確認し、社員の皆さんに徹底して浸透させることが重要ではないかと実感します。



『逆境に感謝』    平成22年5月
     

『逆境とは、神の恩寵(おんちょう)的試練なり』森信三先生の言葉です。経営環境が激変しています。生き残りをかけて厳しい競争が繰り返されています。このような時代にどのように対応すればよいか、少しまとめさせて頂きます。

 〔チャンス到来〕
会社には、莫大(ばくだい)な力が内在していますがその力をほとんど使わずに日々が過ぎていると言えます。時代が変化しなければそれなりの成果で安住していてもなんとかなりました。しかし、現在のように劇的に経営環境やビジネスの構造が根本から変化するとき想像も出来ないような現実が目の前に現われます。まさにその時、眠っている力が目覚めるといえます。本気を出す時であり、本気になれる時であり、組織が一つになって中央突破できる時と言えます。

〔決めて、動いて、チェックする〕
成果を上げるとき一番大切なことは「重点主義(一点集中)」です。目標を明確にする事です。目標には二つの条件が必要になります。達成期日と達成水準です。いつ迄にどのような状態になっているのか。あいまいさを排除し、可視化・見える化に取り組みます。そして、継続してその効果を測定し、改善の質を上げていきます。その仕組を徹底して組織に浸透させます。そこで大切なことは、チームで話し合うことです。リーダーを中心にメンバーが集まりミーティングを繰り返します。リーダーの出番です。  

〔知恵で勝つ〕
現在注目されている会社の共通点は、社員全員が一つになって考えすばらしい成果を上げていることです。昨年訪問させて頂きました「日本一の知恵工場」大垣のタニサケ様、先日訪問させて頂きました「いい会社をつくりましょう」という社是で注目されベストセラー「日本で一番大切にしたい会社」でも取り上げられた信州の伊那食品工業様共に全社員が早朝から掃除に一所懸命取り組み、とにかく会社が美しく、全員が日々工夫し楽しく改善に取り組みすばらしい成果を上げています。常に考え新しい商品・サービスをお客様に提案し社会の役に立つことが成長の大きな原動力と言えます。

そのために何が必要かと言いますと、「戦略的中期経営計画」の共有と実感します。会社がどこに向かって何をしようとしているのか明確な設計図が必要です。社長を中心に幹部社員が一つになり全社員に向け会社の経営理念・ビジョン・方針を伝え、明確な目標を設定し、その目標に向って緻密な計画を立て、徹底してその進捗(しんちょく)管理をする。このことは誰もが知っている経営の定石です。知識と実践とは天地の差です。経営環境が激変している今、基本の実践に一点集中し、会社の体質を強化する絶好のチャンスといえます

「社長の、最重要業務とは!」
                                                    平成22年2月吉日

 社長の最重要業務は、何か?二十年近く経営コンサルティングの仕事を通して、これではないかと実感しております。「次の社長を創ること」。次の時代を託す人材の育成にどれだけ力を入れて取組めるかに会社の存続はかかっているといえます。時代が大きく早く劇的に変化する中で近視眼的なことにとらわれていては将来の手は打てません。しかし、今の業務の権限を委譲できる人材がいなければ新しいことに取組めません。社長だけではなく幹部社員も同じことが言えます。

 では、どのように教育すればよいか。社長の力とは、変化する力(戦略を立案し、推進する力)です。社長を中心に幹部社員と共に徹底して時間を共有し話し合うことで、育成できます。アメリカ航空宇宙局では、サバイバルの研究が進んでいます。その研究で答えが明確にでています。生き残る為には「話し合うこと」です。これで生存率が上がります。

 戦略を推進するとは、結果数値だけを追いかけるのではなく、仕組・習慣・行動の変化を起こすことを言います。プロセスを変えずに結果は変わるものではありません。強い強靭な経営体質を作ることで会社は変化に対応でき成長する可能性が高まります。その為の収益力の強化が重要な課題となります。

 収益力強化の視点は、三つあります。「もの」の整理・「仕組」の整理・「時間」の整理です。すばらしい会社は、共通して美しいです。そして、未達を感じています。目標がはっきりしているので目標に向って変化を続けていますので傲慢になる事はありません。常に謙虚さがあります。そして、効率がよく非常に生産性が高く、常に出来る人の出来るやり方を標準化し、徹底して教育・訓練を行っています。

 では、どのようにしてそのすばらしい仕組みを作り上げることができたのか。正にその答えが「戦略的、中期、経営計画」にあります。時代の変化を読み、中期的な視点で計画的に体質を強化していく、その仕組の定着こそ社長が幹部社員と行なう重要業務と言えます。社長の分身を創ることは、最難関の壁を越えるようなものです。中々思い通りには行きません。だから、社長はいつまでも未達を感じ謙虚でおれます。

激動の時代ではありますが、皆様の益々のご活躍・ご発展を心よりお祈り申し上げます。ありがとうございます。


『生き残りをかけた経営力とは』
                           平成22年1月1日
                                株式会社 ユーマスブレーン
                                代表取締役  丸山 孝明
新年明けましておめでとうございます。日ごろは大変お世話になり、誠にありがとうございます。平成二十二年を迎えてコンサルティングの仕事をとおして考えますことを少しまとめさせていただきます。

 (生存率を上げる)

アメリカのNASA航空宇宙局では、砂漠やジャングルで遭難したときのサバイバル研究も大変進んでいます。そのサバイバル訓練のノウハウだけを使ってビジネスゲームに応用したものが、NASA(ナサ)ゲームです。何度も社員研修等で活用しておりますが例外なく生存率が上がります。そこで生き残る確率を上げる為に最も重要な事は『話し合う』ことであると証明されています。会社も同じことが言えます。社長中心に幹部・社員が集まって話し合う量が生存率に比例します。

 (大きなキャンパスを持つ)
千五百億円規模の上場企業を創業された経営者が最近二つの重要ポイントを指摘されました。@時事問題(時流)を見る力をつけるA人生観を持つことです。リーマンショックが百年に一度の不況ではなく本当の恐慌はこれから始まるのではないかと考えられています。松下幸之助翁の「不況なおよし」という言葉は有名です。激動する中で一番危険なのは変化しないことです。不況は、変化する勇気を与えてくれます。そこで大切なことは、大きなビジョン(キャンパス)を明確に共有することです。社長は会社を存続させ社員とその家族を守ることに必死です。また社員もこの会社で十年二十年家族を守り人生をかけることに真剣です。全社員が自分の人生を描ける大きなキャンパスを明確に示すことで会社と個人の目標が一致します。そこに大きな変化する力が湧き上がってくるといえます。

(全社一丸・知恵で勝つ)
旧来の経営を例えて「SL経営」と呼び蒸気機関車が煙を出して一所懸命長い客車を引っ張る、社長が一人必死に旗を振り社員を引っ張る姿をいいます。これからは「リニアモーター経営」が求められます。軌道の上を少し浮上し滑るように高速で目的地に向かい一点集中驀進します。全員が一つになって弾丸のように飛んでいく力が求められます。激動の時代の経営(ハイスピード・マネージメント)の成功要因は、トライ&エラーと言われます。勇気と知恵を出し全社一つになり変化に挑戦することが求められます。

職場再建の三原則(森信三)に「時を守り、場を清め、礼を正す」という有名な言葉があります。現在注目されている会社も基本を徹底することで大きな成果を上げています。戦略的に、中期的に、計画的にすばらしい将来に向って前進し益々成長発展されることを心よりお祈り申し上げます。ありがとうございます。

 

          「激動の時代・強い会社の条件」
                                       平成21年10月
                                       潟ーマスブレーン 丸山孝明
 今があるということは、これまでの競争に勝ってきたと言うことです。そして、これから新しい挑戦が始まります。時代は大きく早く劇的に変化しています。コンサルティングの仕事をとおしてこの時代の中で勝つための基本的な考え方を少しまとめさせていただきます。

 (
目標設定)
真面目に努力するだけでは、以前のようにうまく行かなくなっています。努力を目的に頑張っているだけでは成果は上がりません。成果を上げる為には努力することを目的とせず目標に向って努力することが重要です。成果を上げる人には共通して明確な目標を持ち、それに向って一点集中・一気呵成に努力します。当然、仕事が速いのも共通です。

 (強みに集中)
自分の存在価値(強み)は何かをはっきり言えるでしょうか。「太閤記」の中で始めて秀吉が信長に仕えたとき台所担当を命じられました。武士としては侮辱的な職場でしたが秀吉は違います。ここでの存在価値は何かを真剣に考え行動しました。じめじめして薄暗い台所を明るく清潔にしました。すると多くのムダが見え、仕入や廃棄が著しく減少し、信長はそれを見て炭奉行に引き立て秀吉は更に在庫管理や無駄を無くし大きな成果を上げました。与えられた環境の中で自分の存在価値を上げることが求められます。

 (
謙虚で早起き)
 具体的な目標を持ち強い願望を心に抱き誰にも負けない努力をする。このことは共通していますが合わせて大変謙虚です。そして常に自分の心を磨く努力を実践されています。「掃除」と「読書」です。また、成果を上げる人は朝が早いです。今、「早起き力」(PHP)と言う本が注目されています。よく町で見かける「お菓子のデパートよしや」の神吉会長の本です。業界NO1の利益を上げる原動力が早起きです。「早起きは経営者にも社員にも一石二鳥どころか四鳥も五鳥にもなる。続けていけば業績は必ず良くなります」と力説されています。

 激動の時代は原点回帰、再度基本を見直すときと言えます。一見、成果を上げることはそんなに難しいことではなさそうです。しかし、これが難しい。意識・習慣・行動の変化を邪魔するものは自分の心の中にあります。毎日毎日自分に挑戦し、今日一日を大切に実践していくことが求められます。前に向って小さな一歩を継続していく中で当たり前の事がすばらしいことに変化します。「コツコツコツコツコツコツ勝つコツ」です。社内報ルーテストークも六十一号年四回で十五年になるのでしょうか。継続の力はすばらしく思います。更なるご発展・ご活躍を心よりお祈り申し上げます。ありがとうございます。


『日本一の知恵工場タニサケ様訪問記』   平成21年8月
                         株式会社 ユーマスブレーン
                         代表取締役  丸山 孝明
 私が潟^ニサケ様を知りましたのは約十五年前です。バブル崩壊後日経新聞社から「心眼の経営」という一本のビデオが出ました。そこには景気に関係なく堅実に成長しているすばらしい会社がいくつか紹介されていました。その一つが岐阜県池田町にある三十数名で二億から三億円の経常利益を出すゴキブリダンゴ製造販売のタニサケ様でした。そして今変わらず堅実に成長するこの会社に注目が集まっており、先日訪問させて頂きました。

             
〔朝が早く、掃除を徹底〕
月曜日の朝五時三十分旅館を送迎バスが出発し会社に六時前に到着しました。男子社員はすでに出社されており掃除の実習から始まりました。トイレの床のタイル一枚一枚徹底して磨きます。ゴミ箱も洗います。フォークリフトも磨き上げます。そこで、掃除とは考え工夫する事であると学びました。

              
〔日本一の知恵工場〕
高収益の秘密は、社員全員が知恵を絞る、たゆまぬ改善活動にあります。毎月約三百件十五年以上の継続の力は驚くばかりでした。トイレ更衣室は廊下を歩く人に当らないように引き戸にホームセンターのバネ秤を取り付け自動ドアに改造し人感センサーで照明は自動になっていました。製造工程でも八人の作業が二人で、七時間の作業が二時間でと言う説明の連続、現場は利益の宝庫と実感。また、乾燥機を購入してもすぐに使用せず一度その機械を分解し改造します。すると性能は倍近くになったということです。その為に電気技術の資格を取得されます。機械も工具も自社に合ったものに改良します。その為に必要な資格や技術を積極的に取得されています。

           〔提案制度成功の鍵〕
制度推進のリーダーが徹底してトヨタのカイゼンを学習されたそうです。毎月三百件以上の提案を一ヶ月以内に処理します。原則採用ですが約三分の一は説明をつけて不採用になります。その判断が学習を通してできるようになったことが鍵のようです。
創業者の松岡会長は、社員が会社を好きになれば能力は百%以上発揮されると信じ、社員の喜びにつながる食事会・親孝行手当・書籍講演テープの貸し出し等会社が与えることばかり心掛けたそうですがその時は社員の喜びは実感できなかったそうです。それが社員から与えられる喜びを感じるようになったのが平成三年から導入した「改善提案制度」です。そしてその推進を通して会社は「全社員が嬉々として出社する人生道場」に変身が始まりました。人には無限の力があります。その力を発揮して役に立つことが人間としての本当の喜びであり仕事のやりがいにつながると実感しました。ありがとうございます。

        『絶対肯定・すべて、良し』
                     株式会社 ユーマスブレーン
                     代表取締役  丸山 孝明
 劇的に大きく早く環境が変化しています。これまで経験したことのない激動の時代に、急激に突入しているように感じます。そこで、どのように対応すればよいか、コンサルティングの仕事を通じて少しまとめさせて頂きます。 

              
 〔人間の潜在能力は無限〕
世界的に有名な遺伝子の研究をされている筑波大学名誉教授の村上和雄先生は、平均的な人間の体は六十兆の細胞から出来ておりその細胞には遺伝子(DNA)があり、その遺伝子の中には三十億のデータ(千ページの本で千冊分)が記録され、命の進化の中で勝ち続けてきた全ての情報が保存されているのですが、その宝物を一生で五〜十%しか使っていないそうです。もったいない話しです。そして、その力をほんの少し多く使った人が成功者と呼ばれています。では、その力はどのようにすれば使えるのかと言いますと二つあり、一つは死ぬほどの恐怖を感じた時、もう一つは高い目標に向って挑戦している時です。成功者は共通して「具体的な目標を持ち、強烈な願望を抱き、本気で努力する」事で楽しく成果を上げています。経営環境が変化するときこそこの力を発揮するチャンスといえるのではないでしょうか。

               
 〔体力に老化はない〕
 スポーツ医学では、中国の仙人が山を駆け巡る事が証明されています。体力に老化はないということです。つまり、筋肉は死ぬまで強化できるということです。老化があるとすれば「もう年だから」という気持ちだけのようです。有名なマクドナルドハンバーガーを創業したレイ・クロックは五ニ歳で、ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースは六四歳で創業しました。夢を持ち挑戦することに年齢は関係なさそうです。

              
 〔思う存分、可能性に挑戦する〕
潜在能力も体力も充分あるということになれば、あとはどのように使うかだけです。会社も個人も同じです。具体的に会社では「戦略的中期経営計画」の徹底した推進が求められます。現在のお客様に更に期待を超える商品サービスを提供し、その商品を新たな販路に展開することです。また、個人では「人生計画」を作ることです。五年後十年後を考え紙に書きますと今のままではいけないという強い危機感が生まれます。

これまで何度も絶体絶命と思える危機や困難を乗り越え、そのたびに会社を大きく飛躍させ成長させてきた「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助氏は「不景気と申しますか、変調期というときは、躍進の機会が与えられるときやないかと思います」と話されています。苦しいことや辛いことを乗り越えてこそ感動があります。「逆境こそ飛躍のチャンス」と全てを受入れ「絶対肯定・すべて良し」の気持ちで新しい時代に向け挑戦を始める時ではないでしょうか。ありがとうございます。


 いい会社を作りましょう』
                                               平成21年4月

日頃は、大変お世話になり誠にありがとうございます。コンサルティングの仕事を通じて感じますことを少しまとめさせて頂きます。  
「いい会社をつくりましょう〔たくましく、そして やさしく〕」これは、現在大変注目されている伊那食品工業株式会社の社是です。寒天を原料とした商品の製造・販売で四十八期連続増収増益を実現しすばらしい風土と財務体質を作り上げています。その原動力は、やはり掃除(環境整備)です。自分達の働く環境を喜んできれいにする気持ちこそ「いい会社」の条件と考え、また二宮尊徳の「遠くをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」という格言を大切にしていつも将来への種まきに力を入れています。

           (感謝の心・謙虚な心)
先日、著名な評論家竹村健一氏の講演を聞く機会がありました。世界そして日本の経済は、八方ふさがり打つ手なし。そこで大切なことは七十年前を思い出せば良いとの事でした。戦争末期で明日の命の保証もなく、その日の食べ物にも困る悲惨な状態でした。長い歴史からすると最近のことです。その時から比べればなんと今は豊かな事でしょうか。現在の環境に「感謝」し「謙虚」な気持ちで明日に向って一所懸命お客様の満足の為に智慧と工夫を出すことが今できる一番大切なことと感じます。

             
(魔法の言葉「ありがとう」)
百万部を超えるベストセラー「ツキを呼ぶ魔法の言葉」の著者であり工学博士でもある五日市剛氏は、辛いことがあったら『ありがとう』いいことがあれば『感謝します(ありがとう)』そして、いつも前向きに『ツイてる!』この言葉を口にするだけで運が良くなり幸せを手にすることが出来ると体験を通して紹介され話題となっています。一日五十回意識して「ありがとう」と言えば自分が気づく前に回りが「楽しそうですね。調子良さそうですね」と言ってくれます。自己変革、自分の持っている潜在能力を引き出すコツでもあり、意識習慣そして行動の変化は大きな力となると言えます。

「厳しいときに会社は強くなる」と言われます。真剣に悩み考え本気になれるからです。人により成果に差が出るときには徹底的に標準化を図り、その仕組みを浸透させるためには教育・訓練に全力を傾け収益力を強化し効率化ムダの排除に取り組みます。環境が大きく変化する中で強い会社は、将来に向けて戦略的に中期的に計画的に体質を強化するときと考え販路開拓・商品開発・人材の育成に力を入れます。そして、その取組みが明日の成長を支える基盤となります。持っている可能性はどの会社も同じです。与えられる環境も同じです。その中で、今注目されている会社には共通する力を感じます。更に強くたくましい「いい会社」に成長発展されることを心よりお祈り申し上げます。ありがとうございます。


               『意識改革』が成果の原動力
     
 
コンサルティングの仕事を通して組織の意識改革が大きな成果を生み出す原動力である事を日々実感します。薄型モーター世界トップ日本電産の永守社長は「人間の能力にはほとんど差は無いが、意識は千倍の差がある」と話されています。工場の床に落ちているビスを拾う能力は誰にでもあります。しかし、そのビスを見ながらまたいでいく人と拾い上げビス箱へ戻す人では千倍の意識に差があると言えます。「成果を上げる人は、気分が良い。気分の良い人は、成果を上げる」社員一人ひとりが成果を上げる人材になれば組織は、大きく成長することが出来ます。意識改革の成功事例を通して具体的な実践手法を考えてみたいと思います。
                       《潟^ニサケの提案制度》
 タマネギをすりつぶしホウ酸を混ぜてゴキブリ団子を作るパートも含めて三十数名の岐阜にある潟^ニサケが現在大変注目されています。今期も売上九億円・利益二億五千万円、常に経常利益率二十五%以上の高収益を実現しています。この会社の特色は「提案制度」にあります。パートの方でも一人年間百件以上提案を出し、全員が一所懸命考えるという仕組み(風土)を定着させています。ルールも明確で成果に対して評価され、提案報奨金は、一人平均年間二十数万円になるそうです。この制度を組織に根付かせる為に、毎月提案件数の目標を設定し不足した時は、制度の推進責任者が中心となり幹部社員が協力して必死になって提案書を書いたそうです。トップと幹部社員の真剣な取組みが原動力となり、社員全員が考えることを楽しめるすばらしい組織が実現しています。。
《日本電産のコスト削減》
 日本電産は、毎年五億円を超える赤字を計上していた日立の子会社を昨年吸収合併し、僅か十一カ月で二十億円を超える利益を出す会社に変身させました。この事例の特色は、永守社長自身が推進責任者となり「コスト意識」を組織に浸透させた事にあります。ムダな蛍光灯をはずし、こまめに電気を消し事務用品は70%削減し全ての経費を見直すというものです。その結果、社員一人ひとりのコストに対する意識が変化し、10%を超える営業利益を出し全員に五ヶ月の賞与が出ました。総務の女性のコメントが大変印象的です。「辞めなくて良かった」この意識改革に取り組む期間に相当の反発やストレスが社内にあった事が想像できます。トップと数名の推進責任者の徹底した取組みが意識改革につながり、大きな成果を生み出したといえます。
 
このすばらしい二社の事例を見ましても会社には莫大な利益が眠っていると言えます。そして、意識改革が利益を生み出す大きな原動力になっていることを証明しています。また両社は共通して「掃除」に力を入れ、会社の机や床そしてトイレ等を全員で磨き上げます。その徹底ぶりは半端ではなく床を雑巾で磨き上げ、トイレも素手で磨き上げ見学に来る人の多くを驚かせます。「そこまで」することが当り前になった時「普通の掃除が、すごい掃除」に変化し、合わせて組織の持つ風土・文化(意識・習慣)を大きく動かします。意識改革は、変化する時は少し辛いでしょうが習慣になれば普通になります。具体的な実践の為には次の事が必要といえます。@ルールを決めるA教育を徹底するB効果を測定する。この繰返しを戦略的に、中期的に、計画的にできるまでする。その「意識改革」への本気の取組みが重要であり、常に今村社長様がお話される「環境整備」の実践とも言えます。益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。ありがとうございます。

           
『リーダーの役割』について         
     
 仕事(人生)の結果は、「考え方×熱意×能力」とよく言われます。強烈な燃える欲望が素晴らしい成果を生むのは当然です。そして、挑戦する中で出会う困難の壁を乗り越えた時、充実感・満足感という「やりがい」が生まれる事も経験的に知っています。リーダーに必要なチーム成果を上げる「コツ」について少しまとめさせて頂きます。
          《不満の原因を取り除く》
 管理論に「衛生要因・動機付け要因理論」があります。部下に対して問題解決よりやる気の向上に力を入れる方が効果的であるというものです。具体的には、不満の原因とやる気の原因は異なり不満を解決しても不満が減少するだけでやる気の原因とはなりにくく、逆にやる気を起こす取組みが出来ていなくても不満として現われずどうしても問題解決に意識が向き多くのリーダーは部下の問題解決に時間を使う傾向にあります。不満の原因は、@会社の将来のビジョンが不明確A上司の管理能力B信頼関係C給与D職場環境です。問題解決の為には、中期計画で方針を伝え、管理者教育・個人面談を実施し、改善運動に取り組む事が必要です。そして、問題解決に手を打ちながらもやる気を起こす取組みに迷わず全力を傾けることが重要といえます。
       《やる気の出るツボを力一杯押す》
 やる気の出るツボは次の五項目「@達成感A承認B仕事C責任D昇進」です。まず、達成感はやる気を大いに引き出し、上司が承認することで更に活力が出ます。その為に目標設定と評価が必要です。しかし「目標は新規開拓です」とか「目標は品質向上・クレーム削減です」と言う声を聞きますがこれは目標とは言えません。「達成期日・達成水準」そして効果測定が不明確だからです。「いつまでに・何を・どのようにするのか」数値で評価が出来るように明確なゴールを設定し、面談を通して仕事の価値・目的そして役割を伝える事が重要となります。

 成果を上げているリーダーは、基本的な事をとにかく粘り強く継続します。環境整備に力を入れ、戦略的中期経営計画を中心に「お客様第一主義」を徹底し、多くの時間を部下との面談にあて、教育に力を入れ変化に挑戦します。問題解決(衛生要因)に手を打ちながらも可能性・やる気(動機付け要因)を向上させる施策に力を集中させ、会社も将来管理者になってほしい人材には「管理論」の基本を、幹部社員には経営者の分身として必要な「経営論」の考え方を教育します。いつも一歩前を見て悩み行動し壁にぶつかり又考える。「決めて・動いて・チェックする」「僅差微差が大差を生む」「凡事を徹底する」この文化が強い力といえます。リーダーには大きな役割があると言えます。益々のご発展ご活躍をお祈りします。ありがとうございます。


          
                           

 

 『成果実現の三原則』について   

今、大和ハウス工業の樋口会長が書かれた『熱湯経営』という本が注目されています。「『熱い心』こそが会社を動かし人を幸せにする」奇跡のV字回復を果たし業界トップに導いただけに伝わってくるものがあります。具体的な実践法としては「迷わず基本を貫き通す」ことだそうです。もう一人現在注目されている人がいます。森信三先生です。神戸大学の教育学部の教授をされ教育界だけではなく人材育成という観点から企業経営者も大変注目しています。森信三先生は、「職場再建の三原則」として「時を守る・場を清める・礼を正す」を上げられています。
    (一)、時を守る
 東日本ハウスの創業者中村功氏は常に「五分前精神」を語られ「信用の第一は、時間厳守約束を守ることである」と強調されます。また、先述の大和ハウス樋口会長も「スピードは最大のサービスである」とスピード対応の価値を話されています。仕事を通して実感しますのは成果を上げている人や組織は、まさに『時間』に対する意識が非常に高いということです。時間は言い換えれば自分の人生の一部であり森信三先生の「人生二度なし」という言葉と合わせて自分を大切にすることであると感じます。
    (二)場を清める
 松下幸之助氏は「見えないところをきれいにすると、見えるところが光りだす」と、リッツ・カールトンも「バックヤードをきれいにしないと接客術がきれいにならない」と話されています。最近多くの経営者がトイレ掃除に挑戦されています。トイレを磨くのではなくトイレを借りて自分の心を磨く実践をされていると聞きます。「整理・整頓・清掃」原点の力の大きさを改めて実感します。
    (三)礼を正す
 森信三先生は、「伏した器には水は入らない」教育とは、まず「伏さっている器を仰向けに直すようなもの」と言われます。そこで一番大事な実践が『礼』です。相手を敬う心を育てる実践です。「挨拶人間に不幸なし」とも言われます。元気な挨拶は、相手以上に自分を勇気付け、謙虚さを養う事といえます。

 「僅差・微差の大差」とは、平凡な事を徹底して実践すると大きな価値が生まれるということです。強い会社は、ただこのことを一所懸命実践されています。益々の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。ありがとうございます。